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高次脳機能障害について

高次脳機能障害は、主に脳卒中や頭部外傷などによる後天的な大脳の損傷で生じる、認知機能の障害です。

医学的に、言語や思考過程、記憶、行動のプログラムや意味理解など、人間の持つ様々な運動・感覚以外の脳機能(認知機能)を総称して高次脳機能と呼びます。中でも特に、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知障害を有し、日常生活や社会生活に何らかの不自由を来す一群が、脳損傷の後遺症として社会的に問題になってきました。

2000年代に入ってから、これらの症状を示す人々に対する支援対策のために、この一群の症状を行政的に「高次脳機能障害」と呼び、支援策を整備するようになりました。つまり、人間が本来有している、広い範囲の「(医学的)高次脳機能障害」とその一部の症候群である「(行政的)高次脳機能障害」は異なる意味を持っているのです。ここでは行政的な意味での高次脳機能障害について説明します。

認知機能の障害として、認知症も近年大きな問題になっています。認知症と高次脳機能障害の違いは、認知症が比較的広く全般的な認知機能低下を生じ、多くは進行していくのに比べ、高次脳機能障害は部分的な脳損傷で生じた特定の認知機能の障害であることです。高次脳機能障害は、リハビリなどによってある程度の回復が望めます。

高次脳機能障害はまだ一般的に十分な知識があるとは言えず、また理解しにくい障害のため、当事者と家族などは大変苦しい生活を強いられることが少なくありません。この障害は身体障害を伴わない場合もあります。生活上で一見普通にしゃべって活動している人に対して、脳機能の障害を察してあげることは難しいのです。高次脳機能障害患者を支援するためには、まずは障害像を理解することから始めなくてはなりません。
(医の手帳)から転載


やっと 対策がはじまった アンガーマネジメント(怒りのコントロール)

高齢化が進むわが国では、介護保険制度などのサービスの整備が進む一方で、家庭や介護施設における身体的な暴力、介護や世話の放棄、暴言などの心理的虐待、不当な財産の処分などの経済的な虐待、といった虐待が社会的な問題となっています。

そのような状況から、2006(平成18)年4月に高齢者虐待防止法が施行されました。この法律によって、毎年全国の虐待の通報と虐待と判断された件数、そして対応状況について報告され、その件数がまとめられるようになり、先月、厚生労働省から2016(平成28)年度の調査結果が公表されました。高齢者を世話している家族、親族、同居人などの養護者による虐待の相談・通報件数は27,940件、そのうち虐待と判断された件数は16,384件でした。介護老人福祉施設など養介護施設または居宅サービス事業など養介護事業の業務に従事する者による虐待については、相談・通報件数1,723件、虐待判断件数452件でした。経年の推移をみると増加傾向ですが、これが果たして多いとみるか少ないとみるかは、判断がつきません。これは市町村へ相談・通報が寄せられて対応された件数ですから、見えないところで苦しんでいる人がもっと大勢いるかもしれません。

養護者による虐待が発生した要因は、回答の多い順に虐待者(虐待をした人)の介護疲れ・介護ストレス、虐待者の障害・疾病、経済的困窮、被虐待者の認知症の症状、虐待者の性格や人格、被虐待者と虐待者の人間関係と続きます。家族を介護することは、体力的にも精神的にも大きな負担です。時間も気持ちにも余裕がなくなり、介護者自身の健康バランスを崩してしまうこともあります。介護の出費ばかりか介護のために離職となれば経済面での心配も出てきます。はじめから自分の親や家族を虐待したいと思って介護している人などいるはずがないのです。

高齢者虐待防止法の正式名称は「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」です。虐待をしてはいけないという監視にとどまらず、高齢者虐待の背景には家族の介護疲れなどがあることを踏まえ、介護負担の軽減や相談支援なども含まれています。

▽厚生労働省:平成28年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000196989.html別ウインドウで開きます

先の調査結果を受けて、先週3月28日に厚生労働省老健局から各都道府県に高齢者虐待への対応の強化に関する通知が出ました。そのなかに、虐待の要因を軽減するための有効な取り組みとして、養護者および養介護施設従事者等への怒りの感情のコントロールを含むストレスマネジメント等についての普及啓発が挙げられていました。施設従事者による虐待の要因には「職員のストレスや感情コントロールの問題」が毎年上位にあがっており、介護職向けの研修は多く行われていますが、今年の通知では家族を介護している養護者へ怒りの感情のコントロールやストレスマネジメントをサポートしていくという内容が明記されました。とはいえ、職員向けの研修とは違って、いま介護のただ中にいる人に研修をというのも現実的には難しく、情報を得られなかったりします。いかに正しい、最新の情報をお届けするのか、難しい課題です。
(朝日新聞デジタル)引用


徘徊と呼ばないで!! → 道に迷われる

 

  • 写真・図版

 認知症の人が一人で外出したり、道に迷ったりすることを「徘徊(はいかい)」と呼んできた。だが認知症の本人からその呼び方をやめてほしいという声があがり、自治体などで「徘徊」を使わない動きが広がっている。

「目的もなく、うろうろと歩きまわること」(大辞林)、「どこともなく歩きまわること」(広辞苑)。辞書に載る「徘徊」の一般的な説明だ。

東京都町田市で活動する「認知症とともに歩む人・本人会議」メンバーで認知症の初期と診断されている生川(いくかわ)幹雄さん(68)は「徘徊と呼ばれるのは受け入れられない」と話す。散歩中に自分がどこにいるのか分からなくなった経験があるが、「私は散歩という目的があって出かけた。道がわからず怖かったが、家に帰らなければと意識していた。徘徊ではないと思う」。

認知症の本人が政策提言などに取り組む「日本認知症本人ワーキンググループ」は、2016年に公表した「本人からの提案」で、「私たちは、自分なりの理由や目的があって外に出かける」などと訴えた。

代表理事は「『徘徊』という言葉で行動を表現する限り、認知症の人は困った人たちという深層心理から抜け出せず、本人の視点や尊厳を大切にする社会にたどり着けない」と話す。

こうした意見を受け、一部自治体が見直しに動く。福岡県大牟田市は、認知症の人の事故や行方不明を防ぐ訓練の名称から「徘徊」を外し、15年から「認知症SOSネットワーク模擬訓練」として実施する。スローガンも「安心して徘徊できるまち」から「安心して外出できるまち」に変え、「道に迷っている」などと言い換えている。

兵庫県は、16年に作成した見守り・SOSネットワーク構築の「手引き」で、「徘徊」を使わないと明記、県内市町にも研修などで呼びかける。名古屋市の瑞穂区東部・西部いきいき支援センターは、14年に作成した啓発冊子のタイトルを「認知症『ひとり歩き』さぽーとBOOK」とした。「いいあるき」という新語を使うのは東京都国立市。「迷ってもいい、安心できる心地よい歩き」という意味を込め、16年から始めた模擬訓練で用いている。

厚生労働省は、使用制限などの明確な取り決めはないものの、「『徘徊』と言われている認知症の人の行動については、無目的に歩いているわけではないと理解している。当事者の意見をふまえ、新たな文書や行政説明などでは使わないようにしている」(認知症施策推進室)とする。

推計では、認知症高齢者の数は15年時点で500万人を超す。25年には約700万人に達すると見込まれている。
(朝日新聞デジタル全文引用)


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