富士フイルムは米製薬大手イーライ・リリーと共同で、アルツハイマー型認知症の検査薬を国内向けに開発する。脳の中に蓄積した原因物質を画像で確認でき、早期に確実な診断が可能になる。認知力テストなどに頼ってきた従来型よりも客観的なデータが得られ、新たな治療薬や予防法の開発のスピードアップにもつながる。
開発するのは陽電子放射断層撮影装置(PET)での検査に使う薬。血液を通じてアルツハイマー型の原因とされるたんぱく質「アミロイドβ」と結びつき、脳内分布を調べられる。イーライ・リリーが2012年に米食品医薬品局(FDA)の承認を取得済みだ。
富士フイルムは60億円を投じ、研究開発拠点を大阪府内に新設し、早ければ2017年にも厚生労働省から製造販売承認を取得できる見通しだ。
アルツハイマー病の診断は、言語能力などの認知機能テストを点数化して診断する方法が主流だ。個人によってばらつきが大きく、特に発症初期の診断は難しい。PET検査でアミロイドβの量を調べられれば早期に投薬治療を開始できるようになる。
2014 11 4 日本経済新聞 より