滋賀県野洲市は訪問販売業者に市への登録を義務付ける条例を施行した。登録をしないと、事業者は市内で訪問販売ができなくなる。登録制度による規制は全国で初めてだ。高齢者を狙った悪質商法など消費者被害やトラブルが後を絶たない中、どの程度のトラブル防止につながるのか、注目を集めている。
「業者を排除するのではなく、登録制で社名を公表することで、きちんとした形で訪問販売を促進してもらいたい」。山仲善彰野洲市長は今回施行した「くらし支えあい条例」の狙いをこう語る。条例は6月の市議会で成立。10月から施行・受付が始まり、1年間の経過措置を経て、2017年10月から完全実施する。市は登録した事業者の社名や代表者名、住所、連絡先をホームページ(HP)で公開し、市民に情報提供する。
野洲市の条例では布団や語学教材、サプリメントなどの販売業者だけでなく、銀行や保険会社でも自宅に出向いて商談する場合は訪問販売業と見なすのが特徴だ。市民生活相談課によると、すでに28社の登録が終了し、11社が準備中だ。
条例のもう一つのポイントは市民が訪問販売を受けるかどうか、意思表示をできるようにしたことだ。玄関などに市が独自に作った「訪問販売お断りステッカー」を貼っている家に事業者は訪問販売ができなくなる。ステッカーを無視して勧誘した事業者には市が事情を聞いた後、違反の事実をHPなどで公表する。
ステッカーは市役所などで入手が可能だ。(日経)
今回の制度は画期的で、特にステッカーを掲示することで、意思決定が十分できない状態での契約を防止できる点が非常に大きい、特に、最近増えている、ご高齢者のみの世帯の場合。訪問販売の契約の締結・履行が、』まったくの密室で行われることが多く、表に出ていない訪問販売による被害は相当な規模にのぼるのではと考えている。
一方、開かれるべき営業権を侵害しているという非難は必ず発生るするだろう。公益と本来開かれるべき様々な権利の中で、今後、議論が行われるべきだとは思うが。思い切った条例を制定した野洲市の判断は今後に大きな一石を投じたことは間違いない。
野洲市の皆さん、ぜひ『訪問販売お断り』ステッカーの入手をご検討ください。