社会保障費どうなるの?

消費税の再引き上げは先送りになったが、2015年も4月以降年金や介護保険といった社会保険で見直しや改定が相次ぐ。国の厳しい財政状況が反映し各種の社会保険は給付の減少が行われ、保険料などの負担は着実に増え続ける。

 年金では4月に「特例水準」の解消が予定される。年金の支給額は、物価が下がり続ける中でも据え置かれ、本来より2.5%高い水準になっていた。これを元に戻すため、13年10月と14年4月に年金は引き下げられ、月に4000円以上(厚生年金の標準世帯)減った。最終回となる今回の下げ幅は0.5%となる。

 年金額はもらいすぎが解消されるだけではなく、実質的な目減り時代に入る。年金額を、物価や賃金の伸びより低く抑える「マクロ経済スライド」という仕組みが発動されるためだ。

 これらの措置により15年度の年金額は、物価・賃金上昇を下回る1%程度の増加にとどまる見通し

大きな改正が予定されるのが介護保険だ。改正ポイントはいくつかあるが、家計への影響が大きそうなのが「費用負担の公平化」だ。4月から低所得者の保険料を減らす一方、8月からは一律1割のサービスの自己負担割合を改め、年金収入280万円以上の人は2割に引き上げる。高齢者全体の20%が対象になる。

 「1割から2割へというと大したことはなさそうだが、額でいうと大きい。しかもそれが亡くなるまで続く」と話すのは社会保険労務士の井戸美枝氏。要介護1なら月に1万7000円弱の自己負担額が2倍の3万4000円弱に膨らむ。

 健康保険では高額療養費制度の見直しが実施された。1カ月の医療費が上限額を超えた場合に上回った金額を払い戻す制度で、70歳未満について所得に応じた新たな限度額が導入された。年収約770万円を上回る上位所得者は、昨年までと比べると戻ってくる金額が減って自己負担が増え、年収約370万円までの人なら逆に負担減となる。

社会保険ではサービスを利用する人だけでなく、保険料を払って制度を支えている会社員ら現役世代の負担も増える事になる。その増加について新聞社が予想したモデルが図となる。

。厚生年金保険料については今後も毎年0.354%ずつ上がり、17年9月以降18.3%になった時点で固定される。また、介護保険料はこれまでの伸び率の延長を前提にした。

 健康保険の保険料率についても保険料率の上限が16年度に13%(現行12%)に引き上げられる見通し。試算では当初の保険料率を、協会けんぽの全国平均並みの10%と想定。その後保険料率は上がり、17年4月に13%と、負担が大きく増えるシナリオを採用した。

 健保組合によって保険料率は異なり、ここまで負担が増えない人ももちろんいる。ただ、健保組合から後期高齢者医療制度への支援金増加なども見込まれ、負担は確実に増していく。

 試算の結果、14年と17年の年収が同じ500万円なら社会保険料は10万円以上増える。全額所得控除となる社会保険料の増加で課税所得が減るので所得税と住民税は減少するが、それでも手取り収入は約8万6000円減ってしまう。年収700万円なら約10万円、同1000万円なら14万円以上負担が増える。

96959999889DEAE0E3E7E4E4E1E2E0E2E2E3E0E2E3E7828297E2E2E2-DSKKZO8215664020012015PPE000-PB1-2

(日経新聞より)