警備大手のセコムは介護大手のツクイと提携し、24時間体制で高齢者を見守るサービスを10月から始める。ツクイが昼間にデイサービス(通所介護)や訪問介護を提供し、セコムは夜間を中心に高齢者からの緊急連絡を受けて自宅に警備員を派遣する。高齢者や家族の様々な要望に応えるため、警備と組み合わせた付加価値の高い介護サービスを両社で構築する。
ツクイは顧客である在宅の要介護者約4万4千人を対象に、希望者にセコムのサービスを提供する。岩手、宮城など東北4県で始め、来年1月から全国に広げる。
セコムは名刺大の端末を高齢者に配る。端末のひもを引くと監視センターの担当者が安否を確認。必要に応じて119番に通報し、心肺蘇生法などの訓練を受けたセコムの警備員が駆けつける。セコムのサービスは税別で月1800円と一般家庭向けより割安にする。警備員が駆けつけた場合などは別料金がかかる。
セコムは高齢者のかかりつけ医の連絡先や服用中の薬といった情報を管理し、緊急時は救急隊員らが端末で参照できる。高齢者はセコムの看護師に夜間などに健康相談ができる。
在宅介護の需要が増える中、公的な介護保険サービスだけで在宅の要介護者を24時間体制で見守るのは難しい。介護事業者による夜間の巡回見守りサービスは人手不足で十分に提供できておらず、高齢者や家族のニーズも多様化している。
CSP(セントラル警備保障)は介護中堅のやさしい手(東京・目黒)などと同様のサービスに着手している。綜合警備保障(ALSOK)は今夏、携帯端末で高齢者の転倒など異常を検知するサービスを始めた。端末での会話で安否確認し、警備員も駆けつける。要介護者の自己負担を得ながら、介護と警備を組み合わせたサービスは今後も広がりそうだ。(日本経済新聞)