厚労省は、特別養護老人ホームを原則個室化するという方針を転換し、条件付きで相部屋を認めることを示した。
特別養護老人ホームは、長い間相部屋であることが当たり前で、プライバシーへの配慮はベットをカーテンで仕切る程度の物だった。その環境を改善するため、厚労省は北欧の高齢者住宅を参考に個室と共有スペースを組み合わせた、ユニット型の施設を新規開設する場合は原則とするという方針を打ち出したのが2000年ごろだった。
ユニット型の施設で理想的な介護環境が提供できると考えた厚労省は、施設整備への補助金や介護報酬を通じて、ユニット型個室の整備を促し、相部屋が減るように誘導しようしとした。しかし、思惑通り事は運ばなかった。
14年度に特養ホームの定員の7割をユニット型個室にするという目標を立てたが、実際は3割程度の整備にとどまっている。これは、整備する自治体が同じ整備費なら個室よりも受け入れ人数が多い相部屋を重視することろが多いことや、国が介護報酬を手厚く設定しているため、増設が増えるほど介護保険の支出が増え、保険を運営する市町村の財政負担がより多くなってしまう事がその大きな原因となっている。
特養ホームの待機者は全国で52万人。自体への施設整備を求める圧力は強く、そういった事情を抱える自治体の反発を前に、個室かへの方針転換は維持しつつも、条件付きで相部屋での施設開設を認めることとなった。介護の理想と、日本の置かれている現状、多くの日本人にとってより痛みの伴う改革や、価値の転換が必要になってきているようにおもう(引用日経)